空き店舗利活用による中心市街地活性化策の推進を

都市再生整備計画の中で
●町にとって、中心地を再生することは町全体を元気にさせる重要な課題としてあり、中心地にある地域資源を活かして町民にとって誇れるまちに、訪れる人に楽しく思い出が生まれるまちにすることが必要である。
●山辺をアピールする気持ちや「山辺の顔づくり」に対する住民の意識は高く、住民が連携して町の貴重な資産を守り、個性ある景観を維持し、愛着と誇りが持てるまち並みを再生する活動が芽生えてきている。

また、課題として、
1)「まちの顔」再生の重要な資源である歴史・文化の継承が重要である。
町民が誇りとする地域の歴史や文化、受け継がれたまち並みを守り高め、来訪者にとっての魅力を高める。

2)街の中心である商店街の魅力向上が必要である。
商業的に衰退しているものの居住者の生活空間としては必要不可欠であり、商業機能だけではなく他要素も含めた魅力の向上が必要である。
3)交流活動等を促すための基礎的な条件確保が必要である。 コミュニティー活動、商店街の賑わい、町外からの来訪者増を促すには、地域で活動するための環境が不足しており、活動の場や訪問先とのネットワーク整備が重要である。

 と中心市街地と商店街の現状と課題を明確に分析し山辺地区の都市再生整備計画に反映されていると思います。
 そんな中、ふるさと交流センター完成・オープンを間近に控え、中心市街地・商店街での今後の人々の交流や活性化などの期待感が大いに高まってきています。
 私も中心市街地から山辺町全体の活性化へ向けて、今後、ふるさと交流センターの役割は非常に大きいものになってくると考えるところです。
 そして、町内外から人々が訪れる仕掛けとして、ふるさと交流センターを中心とした周辺商店街の更なる自助努力と工夫も合わせて必要であり、各商店の自覚も向上させなければならないと思っています。
 また、都市再生整備計画による条件整備が進む中、「商店街の魅力化の一つに空き店舗をそのままにしておかない状況が必要であり、利活用するなど空き店舗数の減少を目指す。」と空き店舗の利活用が関連目標として数値化されています。
 交流センターから周辺商店街への人々の流れ、街歩きの導線、回遊を施すには、既存の店舗数ではなかなか厳しい現況であります。
 今後の活性化の条件整備として、この空き店舗の再利用・利活用は欠かせない課題の一つと考えます。
 そこで、ご提案をさせていただきます。
 わが町の中心商店街は、古き良き日本の風景が随所に残る商店街でありますが、残念ながら商店主の高齢化や後継者不足をはじめとする様々な要因から空き店舗の増加が年々進んでいます。
 一方で、東北芸術工科大学創設以来、山形在住のチャレンジ精神を持った若いファッション作家やクリエーター・デザイナーたちは、自分のアトリエや店舗を持ちたくても、家賃に投資できるだけの収益が得られるか不安なため、せっかく良いものを生産しているにもかかわらず、独自の展示スペースや工房・販売店舗を持てないでいるのが現状です。
 そこで、空き店舗の家主と、若きファッションクリエーターたちに向けて、両者ともに利益を得られ、さらに、山辺町の活性化につながる仕組みとして、「賃料レベニューシェアによる空き店舗の再利用」について提案いたします。

 賃料レベニューシェアとは?
 「家賃をレベニューシェアにする」とは、店舗の賃貸料を、その店舗で得た利益から決められた配分率で支払う、という契約のことを指します。
 つまり借手の事業者は、収益が低いうちは低い家賃で、利益が高くなるに応じて高い家賃を家主に支払うということになります。無理な初期投資をすることなく店舗を持つことができるのが利点です。
 家主にとっては、もともと収益性の低い空きスペースから収益を得られますし、将来性のある事業者に貸し出すことができれば、より高い収益を得られることになります。
 まさに、事業者と家主がパートナーとなって、共に収益を上げるチャレンジをする。それがレベニューシェアの意味するところです。

 「ファッションの町」の店舗利用を推進
 山辺町は「ファッションの町」を謳っていますが、残念ながら若者に向けたアパレル関係の店舗が少ないのが現状です。
 ところで、山形市近辺に目を向けても、ファッション通がゆっくりと街を散策しながらウィンドウショッピングを楽しむ場所、というのは実はほとんどありません。駅前・七日町では駐車場代が高くゆっくりはできませんし、郊外の大型ショッピングモールでは全国にあふれた店とジャンクフードばかりです。
 そこで山辺町の商店街です。そのような「本当のおしゃれさん」が「歩いて楽しい場所」にできないものでしょうか。ココでしか買えないニットやアクセサリーを求めて、山形市、全国から若者が訪れる町。ゆっくり買い物し、おいしいランチやスイーツにあふれている町。
 目指すは「ファッションの町として賑わう山辺町商店街」です。想像するだけでワクワクして楽しくなってきます。

 山辺町がこの構想に適している理由
 山形市へのアクセスがよいために、山辺町をベッドタウンとして居住する若い世代が増えています。ここは逆の発想をして、山辺町は山形市からのアクセスが良い、気軽に立ち寄れる粋なスポット山辺、であることを認識したいものです。
 また、中心商店街は、半日~1日歩いて一通り見て回るのにちょうどよい空間です。疲れたら立ち寄れる飲食店も充実しています。帰りに夕食準備ができるスーパーもすぐ近くにあります。歩いてこれだけのスポットにアクセスできるコンパクトな町というのは、そんなに多くはありません。このような利点は活かすべきです。
 街並みや建物は全体的に古風で落ち着いています。クリエーターは、雑居ビルのテナントなどよりも、日本的な家屋を活かし工夫をした空間を好む傾向にあります。このこともクリエーターを誘致しやすいと考える理由です。

 商店街としての差別化
 単なる消費スペースではない商店街としての可能性を秘めた現状。
 一店舗では終わらない並列展開である。
 お客さんを回す=かぶらない商品=他店の紹介ができる。
 一品種、一商店に近い商売=特定の品種に対する専門家=品質の良いものを提供している。
 近年の傾向として大手ショッピングモールに消費者が集中していますが、ショッピングモールには無い横の繋がり感、そこでしか買えないプレミアム感、商品に関しての知識の多さ、その商品から広げられる提案などを出していき商店街ならではの色を出していければ差別化につながると考えます。
 ファッション好きが歩いて楽しめる場所がない山形において、山辺町はちょっと隠れ家的なおしゃれを演出するのに適した町です。商店街の空き店舗をレベニューシェア方式で貸し出すことによって、ファッション関係のクリエーターを誘致し、ファッションの町山辺、を再スタートしたいと考えます。
 この方式は一案に過ぎませんが、商店街の空き店舗を利活用し、店舗を埋めること、ファッション関係のみならず、カフェや飲食店舗など若い世代がチャレンジできる仕組みづくりにより、目標とする中心市街地からの山辺町全体の活性化へつながると考えます。

 以上、具体的な構想を提案いたしましたが、今後、わが町の活性化にとって欠かせない課題の一つと考えます。都市再生整備計画にも明記し、平成26年までの数値目標も掲げています。交流センターを中心とした町の活性化へつなげる周辺商店街の空き店舗利活用を町としてどのような形で推進できるか、バックアップできるかの条件整備を今こそ具体的に考え、推進するときだと考えます。
 町長のご見解をよろしくお願いいたします。